生意気を持て余しているので

時間と生意気を持て余した女子大生の雑記ブログ。一番新しいものを除き、お気に入りの記事順に時系列バラバラで並べ替えてあります。

もうさ、飲み会の途中で呼び出さないでくれ

「飲もう」「会おう」「電話しよう」

と言われることは嬉しい。

求められている気がするからだ。

誰かに、私という存在を認められている気がするから嬉しくなってしまう。

 

難しいのは、それが突拍子も無い時だ。

彼らは時に、突拍子もなく「話そう」と言ってくる。

話したいから会いたい。会おう、今から、会って話そう。電話しよう、と。

 

私はこれが、割と苦手だ。

 

割と、と言ったのは、苦手じゃない人もいるからだが、ほとんどの場合は、やはり苦手である。

例えばそれが移動距離を伴う時。

例えばそれが関わりが少ない人間である時。

例えばそれが男女の関係など全く関係ない時。

例えばそれが明らかに酔いに任せて言われていると思う時。

 

これまでも、そして今も。

 

彼らはいつでもそうやって、誰かを呼び出す。

 

 

 

どうして苦手なのか。どうして苦手なのだろう。

 

答えは、一つだ。

 

 

 

 

彼らは何も話さないからだ。

 

 

 

 

何も、話さない。何も話さないのだ。

自分のことを話すまでもなく、私のことも聞いてくるまでもなく、

とにかく、何も話さない。

会いたい、話したいと呼び出したにも関わらず、

彼らは何も話さない。

電話越しに携帯をいじってくる音が聞こえたり、居酒屋であればメニューをひたすら眺めていたりする。

 

そうすると、どうなるか。

 

私が、話す。

 

私が話すのだ。ひたすら。

必死に笑顔を浮かべて、質問を考え、聞く。

「そういえばあれってどうなってるの」と、突然呼び出してきた相手の話を聞く。

それで会話が続けばいい。盛り上がれば良い。何も文句はない。むしろ、十分それは楽しい。

 

 

だが、多くの場合、彼らは何を聞いても自分のことを語らない。つれない態度をとる。

一問一答のような時間が流れる。

まるで、「お前が望むから私は(時に俺は、)お前に構ってやっている」という態度をとる。

「語らないものこそが強いのだ」という態度をとる。

おいおいおい、どういうことだ。

まるで、求められたと勘違いして現れた自分がピエロじゃないか。

一体私に何を見せたいのか。

 

 

気まずい空気が、気まずい。

 

 

私が話せることなんて、限られている。

だって彼らはつれない態度をとるから。

彼らが喜びそうな話題なんて、下世話な世間話か、私自身の身を削った話。身の上話くらいしかないのだ。

 

そういった場で、悪口や他人の世間話を言うのは好きではない。

善人ぶっているわけではなく

「こいつ、わざわざ来て他人の悪口を言いにきたよ」

と思われるのが嫌なのだ。

 

そうすると、必然的に話題は私自身の身を削った、

いわゆる自分自身を取り巻く環境の話だったり、自分の恋愛事情だったり。

それを面白おかしく、

まるで悩んでいるかのように、

まるで不満を持っているかのように、

語る必要がある。そう、語るしかないのだ。たとえそれが嘘であっても。本当は、何も不満を持っていなくても。

答えはとっくに自分の中で出ていたとしても。

まるで答えなど知らないように。時に顔を曇らせて、語るしかないのだ。

だって、彼らは何も語らないから。

 

 

「それは違くない?それってやばくない?」

あぁ、やっと彼らが語り出した。よかった。やっと雰囲気がルートに乗った。

私の思い通りだ。

「それは、こういう事だと思う。だからあなたの意見はおかしい。」

よかった。やっと彼らが語り出した。

このままでは、この夜が、無駄になってしまうところだった。

家を出る前にやっぱり行きたくない、と思って一瞬足を止めた私の意思や、

店に入る前に大きく吸い込んだ息、

電話に出る前に一瞬躊躇した親指、

そういうものが、全て、

泡となって消えてしまうところだった。

危ない。

今夜が泡となってしまうところだった。

 

 

うんざりだ。もう、こうやって、誰かの夜に消費されるのはうんざりだ。

でも、どこかで、きっと、私は誰かに私の夜を消費されるのを望んでいるんだと思う。

だから、懲りることもなく、同じことを繰り返す。

一瞬の、求められたと言う嬉しさに、ピエロになる。

 

もっと、賢くなるべきだ。

誰も傷つかない、私自身も傷つかなくて、なおかつおもしろい、誰かが語ってくれる話題を、

もっともっと知る必要がある。

どうか、頼むから、知ったようなことを言わないでください。

だって、その話は私があなたのために用意した話なのだから、そもそも存在していなかったものなのだ。

私は弱いから、頭が悪いから、

その用意した話に正論をかまされると泣きそうになってしまうのだ。

そもそもその話は存在していなかったのに、だ。

頼むから、どうか、気づかないふりをしていることに気づいてください。いや、気づかなくていい。何も考えずにいてください。

私が話した途端に、醒めたようなことを言って聡くならないでください。

知ってるから。言われる前から知ってるから。私の方がとっくに眼が醒めているから。

 

 

もう、きっと、私は、

あなたの期待には応えられないと思う。

ごめんだけれど、応えられません。

でも、わかってほしい。彼らのことを嫌いになったから応えられないんじゃない。

嫌いにならないために、応えないことを、

 

どうか、わかってください。

 

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