これからヒモを飼おうとしていた時に書いた短文
以下の文は、ちょうど半年前に、私がはてな匿名ダイアリーに投稿しようとして書きためていた文章です。
久しぶりに読み返したら、その時の心情や葛藤を思ったよりもちゃんと記載していたので、ここに貼ります。
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これからヒモを飼おうとしている。
文字通り、あの、かの有名な、ヒモだ。
自分は絶対に、そういう男にハマらないと思っていた。
私は今まで、いわゆるホストにだって行ったことなかったし、
むしろ、付き合った年上の男の人にはご飯やホテル代をを奢ってもらって生きてきた。
自分はいつか、経済的に恵まれた男の人と結婚するのだと信じて疑っていなかった。
私は、絶対に、愛よりお金だと思っていたし、それと同時に、きっと自分ならばその両方を手に入れられると信じていた。
彼と出会うまでは。
出会った時の彼はそりゃあもう魅力的で、好きになるのは一瞬だった。
記憶にある最初の夜は、ひどく深夜で、初めて訪れた街であったから、きっと緊張による吊り橋効果なるものもあったのだろう。
その夜は、何も間違いが起きなかったけれど、ずっとドキドキしていた。
それがいけなかったのかもしれない。
間違いが起こるのが遅すぎた。そして一晩で終わっていたら、きっとこんなに長続きしていなかったかもしれない。
文字通り、私はこれからヒモを飼おうとしている。
二人で一緒に生きていくにあたって、蓋を開けてみたら彼の経済力が、想像以上になかったのだ。
精神的病によって働くことができない三十路近い彼は、生きていくための日銭を稼ぐのに必死だ。
その一方で大学生の私は、若さがゆえに体力があり、気力があり、夢と希望がある。
私に与えられた選択肢は3つしかない。
彼をヒモとして一緒に生活するか、離れて暮らすか。別れるか。
離れて暮らすと、きっと会えるのは年に4回程度だろう。
耐えられなかった。それくらい好きになってしまっていた。
でも、恐ろしいことに、
私だって決してお金を持っているわけじゃないのだ。
私だって本当は働きたくない。生きるために働きたくない。
そもそも私は学生だ。好きなことをするついでのような形でお金をもらいたい。私だって。だって。だって。
「君のためならば何処へだって行ける」
「君のためならばどんなことだってできる」
「俺が扶養してあげる」
そんなことを言ってくれる人が、この世界のどこかに存在していると信じていた。
でも、もう十分わかった。
口先だけの現実世界の理想的な男性は夜な夜な出張理由に浮気をするし、
売れない芸人時代を支えた彼女は、男が売れた途端に捨てられる。
本気で好きだと伝えるような女は高確率でナメられる。
そして、事実として、そんな言葉なんていらないと思うくらいに、その男が好きだった。
世知辛い世の中になりましたね。私が現実を知らなかっただけか。
彼は、家賃の一部を負担しようかとおまけ程度に何度か提案してくれたけれど、
別にそんなことしなくて結構です。全額払ってくれるんじゃないのなら、半分の額だっていりません。
3割?ふざけないでください。そんなの、逆にいりません。逆にいらないんだよ。
あなたは、だいぶ、わかっていない。
お金を払わないということは、発言権を無くすということを。
あなたの言葉から力を奪うということを。
生活の全ての権限を私が持つということを。
そしてその権限を私が保つために、中途半端な方がよっぽど迷惑だということを。
そして、私がそれを行使するとき、
私たちの生活は、
2人のページを2人で紡いでいたのではなくて、
私のページに、
あなたが登場していただけということに、
あなたが気づくことを。
2019/5/5
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結果的にいうと、この後私はヒモを飼うには至らなかったし、
この時想像していた未来よりも全然マシな生活スタイルで、全然残酷な未来が待っていた。から、人生って本当に分からないよね〜。でも本当にこの時ヒモを飼っていなくてよかったと思いました。飼わなかったおかげで、最後の一文の結末には決してなりませんでした。
これから短文系をちょいちょい投稿していこうかなって思ってます。マジでただのメモの投稿なのだけれど、こんな感じのものは沢山あるので。
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